この記事は、若手社員の退職に関して、人事の視点を交えてまとめました。
・新卒で会社に入社したものの、入社数ヶ月で辞めても良いか悩んでいる
という方に読んでいただければと思います。
退職に関して検討した方が良いポイント
最近、若手社員、特に新卒1~2年目社員の退職の相談を受けることが多いです。
退職したい理由を聞いてみると、驚くほど共通点が多く、もう少し考えた方が良いと思うことがいくつかあります。
この考えた方が良いと思うことを、下記の3つのポイントにまとめてみました。
- “仕事が上手くできない”が、“やりたい仕事ができない”にすり替わっていないか
- やりたい仕事をするには転職が最適なのか
- やりたい仕事で自分を雇ってくれる企業はあるのか
“仕事が上手くできない”が“やりたい仕事ができない”にすり替わっていないか
多くの若手社員と話す中で、「やりたい仕事ができない」とか「やりたいことができたので辞めたい」には2パターンある気がしています。
- 文字通り本当にやりたいことが見つかったパターン
- 仕事が上手くいかないので、やりたいことが見つかったと自分を思い込ませているパターン
両者の見分け方は簡単で、前者は今の仕事に対してポジティブな言葉が出てくるのに対して、後者はネガティブな言葉が大半を占めます。
仮に本当にやりたい仕事ではなかったとしても、大きな成果をあげられる仕事のことをネガティブにはあまり考えませんよね?
もしそれなりに仕事が上手くこなせているのであれば、今の仕事に対しては比較的肯定的な話が出てきます。
一方で現職の悪いところばかり話す場合、よくよく聞いてみると、仕事が上手くいっていないことがほとんどです。
仕事が上手くいっていない時に、成功している同期の話なんかを聞くと、「自分にはこの仕事が合ってないんだ」→「本当にやりたいことではないんだ」→「退職しよう」となってしまうのではないでしょうか。
この現象は本当にもったいないなと思います。
入社後すぐに仕事が楽にできる人なんてほんの一握りでしょうし、その仕事の適正の見極めには多少の時間がかかります。(おそらくこの多少の時間のことを一般的に「3年」と言っているのでしょう)
その見極めの前に、やりたいことがあると思い込んで辞めてしまうと、そもそもその職が適していたのかすら分からないままになってしまいます。
やりたいことができないから辞めたいと感じている人は、一度立ち止まって考えてみると良いかもしれません。
やりたい仕事をするには転職が最適なのか
仕事ができないわけではないけれど、「本当にやりたい仕事が他にあるので辞めたい」と思う方もいるでしょう。
その時には、退職を検討するのも良いと思います。
ただ、ここでも注意点があります。
それは転職によってやりたいことができるようになるのかということです。
今の会社でやりたいことができないのか?
日本の企業では、総合職で入社した場合、数年毎にジョブローテーションがあると思います。
今の職場でやりたい仕事ができないにしても、数年待てば希望の職場に行ける可能性があれば、人事や現職場に希望を伝え、そのタイミングを待つのも一つの手でしょう。
もし次のローテーションで希望職場に配属されれば転職の必要はないでしょうし。
※ちなみに、本人にはあまり伝えませんが、企業側も様々な考えがあって配属を決めています。もしかすると、今の配属にも何か意図があるかもしれないので良く考えてみましょう。もしかすると、やりたい仕事をするためのステップとして今の職場に配属されたのかもしれません。
今すぐに転職をしたいということであれば、今すぐ転職すべきなのか、なぜこのタイミングでその仕事をしたいのかを明確にしましょう。
転職で新たなミスマッチが起きないのか
個人的には転職先で更なるミスマッチを起こす可能性が非常に危ないと思います。
新卒で入社した時のことを振り返ってみてください。必ずしも希望通りでは無かったとしても、少なからずやりたいことを考えて就職活動をして今の会社に入ったことでしょう。
その上で、他にしたいことができたと言うことであれば、転職をしてもまた同じことが起きる可能性が高いのはないでしょうか?
このような可能性を深く考えず、転職すれば悩みが解決すると思い込んでいる人が多いと感じます(そう思いたい気持ちも良く分かりますが、、)。
求める条件によっては、そもそも会社に勤めることが適しておらず、転職ではなく独立すべきということもあるかもしれません。
転職によって、更なるミスマッチを起こさないためにも、やりたい仕事の棚卸・明確化をこのタイミングで行う必要があるでしょう。
やりたい仕事で自分を雇ってくれる企業はあるのか
本当にやりたいことがあり、転職する以外に方法がない。その時は転職をすべきでしょう。
最後に検討すべきは「やりたい仕事のために雇ってくれる会社があるか?」です。
最近は、売り手市場で転職する人も多くなってきたと言われていますが、実際はそこまで甘くありません。
有名企業ほど面接で「なぜ前職を数年で辞めたのか?」と詰められまくって落とされるということが良くあるようです。(日系の大企業ほどそういった傾向がありそう)
第二新卒で業界の人気企業に就職できるという広告も見ますが、鵜呑みにするとやはり危険だと思います。
考えれば分かる話ですが、人気企業には新卒・中途でたくさんの応募がきます。そんな中であえて他の会社をすぐに辞めた人材を採用する理由はないですよね。
もちろん「有名な企業」でたくさんの既卒・第二新卒を取っている会社もありますが、新卒で必要な数を取りきれないということは、それだけその会社の新卒がたくさん辞めている(=問題がある)ということです。
そんな企業に望んで入社したい人はいないでしょう。
自分のやりたい仕事や求める条件を良く検討し、場合によっては誰かに相談するなどして決めるのが良いと思います。
今の自分に紹介できる企業があるのか、転職エージェントに相談してみるのも良いかもしれません。※ただし、エージェントの話を全て鵜呑みにしないよう注意は必要ですが。
まとめ
今回は、人事の視点を挟みながら、若手社員の転職についてまとめました。
やはり、売り手市場といえど、若手社員が短期離職をして優良企業に転職するのは難しいというのが実情です。
やりたいことがあると思っても、一度踏みとどまって冷静に考えてみることも必要だと思います。
※働いた分の給料がもらえないとか、パワハラ・セクハラにあっている場合は、すぐに辞めましょう。というよりもまずは労基署に相談しましょう。辞めさせてもらえない場合には、退職代行サービスなどを使うのも全く問題ないと思います。